(262)さいたまクリテリウムを含む、最高の関東旅行。~西宮に帰る~

宝戒寺。
拝観受付の前で、しゃがみこむ俺。
受付には誰もいないので、どうしたものかと考えた。
「拝観料を払わんと、勝手に中に入るわけにもいかんしなぁ」。
お寺の人が俺に気付いてくれると助かるが、そんな雰囲気も無く…。
「参ったなぁ」。
暇で仕方がない。
「あ、そやそや」と、門の前に縁起由来の立て札があったのを思い出す。
それを読んで時間を潰し、受付の人が戻って来るのを待とう。

もともと、この辺りには、鎌倉幕府の執権北条氏の館があったと。
鎌倉攻めで幕府が崩壊し、亡くなった北条氏の魂を慰めるため、後醍醐天皇が足利尊氏に命じて、この地に宝戒寺を建てたと。
歴史好きや、太平記の時代に興味がある人には、たまらないお寺だ。
以後、国の柱になるような人材を育成する場となった(今の東大や京大のようなものか?)。
しかし、天災や廃仏毀釈で、ボロボロになる。
昭和に入って施設の再建を始め、今、その途中だと。
要は、とても歴史があるお寺です。

というようなことが立て札に書かれており、「いやぁ、値打ちあるわ」。
そう感服していると、「お金は受付にところに置いて行って下さいねー」。
法被を着たおばちゃんに声を掛けられた。
俺は参拝料の200円を、受付の窓を開けて適当に置いて、参道を歩く。
「こちらの本堂に入って下さいね」と、また法被を着たおばちゃん。

靴を脱いで、本堂へ。
先に行った杉本寺では、薄暗く、ところ狭しと仏像が並ぶ神秘的な空間だったが、ここは明るくそよ風が吹き、気持ちをなごやかにするような開かれた空間に感じられた。
先客の中年カップルが窓際に座り、景色を眺めている。
「なんか、やらしいよなぁ」と思った俺は、きっと精神が穢れているのだろう。

畳の上を歩き、仏像の前で正座をし、手を合わせる。
そして、中年カップルがいる方とは反対側の窓際に腰掛け、さほど広くない境内を眺めてぼんやり。
「次は、春か夏。今とは違う季節に来たら、また違った景色が見えるな」。
そんなことを考えているうちに時間が過ぎ、「そろそろ西宮に帰ろっか」となった。

歩く。
鎌倉駅に着き、「どの辺りで乗ろうか」とホームをうろついていると、足元でパタンと音がした。
ICOCAかPASMOか何かわからないが、ICカードが落ちている。
とりあえず拾って、近くにいた、おそらく持ち主であろう大学生風の兄ちゃんに手渡す。
兄ちゃんは、「いやぁ、また落としちゃったよ」と連れに言い、さらにICカードが入っていた手帳型スマホカバーを連れに見せた後、「ありがとうございます」と俺に言った。
「順番がおかしくないか?」。
「『ありがとうございます』が先ちゃうか?」。
そんな些細なことでモヤモヤしながら、新横浜まで電車に乗った。

以前、出張で何度も足を運んだ新横浜。
近畿以外では、俺の人生にとって一番滞在日数が多い街かと思う。
朝から晩まで会議した後、駅から歩いてすぐのところにある新横浜国際ホテルに宿泊し、時間があればラーメン博物館に寄り、無ければ駅で崎陽軒のシウマイ弁当を買ってホテルで食う。
飽くまで、仕事で訪れているから、「関内まで遊びに出ようか」という機会は少なかったが、俺なりに新横浜を楽しませてもらった。
思い出がこもる好きな街と言うか、好きな駅(周辺)だ。

「では、お決まりの、崎陽軒シウマイ弁当を買って、新幹線の中で食おうか。ビールも」。
そんな欲望もあったが、鎌倉からりさんで、お腹も気持ちもいっぱいになり、弁当は量的に厳しい。
参った。
「腹いっぱいなのでシウマイ弁当を食わない」となると、新横浜に来た意味が無い。
「買いたいけど、ただ、ご飯を残すのは…」と悩んでいると、シウマイ単品でも売ってるではないか。
「これや!」と思った。
「本気で嬉しいやんけ!」。

ホームから、辺りを見回す。
以前、頻繁に出張で来た時に見た景色は、朝の景色。
この日は、夜の景色。
「家に帰ろう。ゆっくりしたい」という気持ちと、「数日ここにいたい」という気持ち。
だいたい五分五分。
悩んだところ、新大阪までの切符も買っているので、結局、新幹線に乗ってしまったが。

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